理科教材ワンポイント講座
  〜「指導書」を読み解きませんか〜
  
  「 5 大地をさぐる 」
  「 6 大地の変化 」
大地について、体験・体感を通して、興味・関心を高めることが
本単元の『ワンポイント』!
 
@ 指導要領から
 
B、 土地やその中に含まれる物を観察し、土地のつくりや土地のでき方を調べ、土地のつくりと変化についての考えをもつようにする。
 
  ≪共通単元「5 大地をさぐる」≫
  土地は、礫、砂、粘土、火山灰及び岩石からできており、層をつくって広がっているものがあること。
  地層は、流れる水の働きや火山の噴火によってでき、化石が含まれているものがあること。
 
  ≪共通単元「6 大地の変化」 火山活動による変化・地震による変化≫
                                    (21年度からいずれも必修化)
  土地は、火山の噴火地震によって変化すること。
 
A 単元の目標は
 
 
  ≪「5 大地をさぐる」≫
  身の回りの地層などを観察し、
  大地は長い年月と大きな空間的な広がりの中でつくられてきたという見方や考え方を持つようにする。
  大地のつくりについて、多面的に追求する能力を育てる。
 
  ≪「6 大地の変化」≫
  火山活動と地震によって引き起こされた大地の変化と災害とを関連付けて調べ、
  大地の変化をとらえられるようにする。
  火山活動と地震によって大地が変化する事実から、
  自然の力の大きさを感じ取ることができるようにする。
 
2.単元を構成するにあたって
 
@ 子どもたちは・・・
 
  これまでの経験から、土地がねんどや砂などから構成されてることを感覚的にとらえている。しかし、構成物を分析的にとらえたり、災害と関連付けて考えたりといった多面的に追究することは難しい。
  地層を断面的に(二次元的に)とらえがちで、長い年月をかけた形成過程(時間経過)をとらえてはいないであろう。
 
A 教科書の学びの内容と順序は
 
≪共通単元「5 大地をさぐる」≫
段 階 活  動 学 習 内 容
単元導入 大地をさぐる 【「大地」の意欲づけ、課題の設定】
第 1 次 地層ができるわけ@ 【地層のでき方の推論と追究】
地層ができるわけA 【岩石および地層のでき方の理解】
第 2 次 わたしたちがすむ地面の下@ 【地層の広がりの推論と追究】
わたしたちがすむ地面の下A 【地層の広がり(大地のでき方と構成物)の理解】
まとめ まとめ・発展・補充 【学びの定着,学びの深化】
 
≪共通単元「6 大地の変化」≫
段 階 活  動 学 習 内 容
単元導入 大地の変化 【大地の変化の意欲づけ】
第 1 次 火山活動と地しんによる変化@ 【火山活動と地しんによる大地の変化の理解と追究】
火山活動と地しんによる変化A 【調べ学習の結果の表現】
 
 
B 指導上のポイント
 
  @ モデル実験的な手立て→(簡単な素材を使ってモデル実験ができる)
  ○ ペットボトルや堆積実験装置を使った堆積の様子を観察
  ○ カラー粘土による地層のモデル化
  ○ メスシリンダーなどを使った粒の大きさによる沈殿の速度を比べる実験
 
  A 視聴覚的教材の活用→(視覚的な資料を活用して)
  ○ NHKデジタルコンテンツの活用
  ○ 西宮市デジタ教材の活用
 
  B 実物(標本)の観察→(実物に触れて)
  ○ ボーリング資料の活用
  ○ 化石標本の観察
  ○ 5年生での学習「流れる水のはたらき」の想起
 
  C 地域との関連をはかる(わたしたちが住む地面の下)
  ○ 住んでいる地域の形成過程
  ○ 阪神淡路大震災
 
  (押さえどころ)←観察・実験時に視点を子供に明示する
  ★地層は上のほうにあるものほど新しい
  ★地層が奥まで続いているという地層の広がりを知る
  新学習指導要領〜言語力の育成・活用の重視〜
第6学年の目標の中に「推論」を新たに規定。
「観察・実験の結果を整理し考察する学習活動」「科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動」の充実を新たに規定。
 
3.どのように単元を流すか@ 5 「大地をさぐる」
 
【単元導入 大地をさぐる P.2〜5 2時間】
課題、活動、まとめ など 留意点 など
活動 化石についての話し合い
 
課題 『化石について調べてみよう』
 
活動 ○話し合い
  ○資料調べ
 
評価規準 関心@ 大地やその中に含まれる化石などに興味を持ち、調べようとする
  技能@ 資料を使うなどして、台地やその中に含まれる化石などを調べる事ができる。
 
学習(まとめ)のポイント
化石が、大地にうまっているのはなぜだろう。
大地は、どのようにしてできたのだろう。
漠然と化石についての調べ学習をすると、本単元の課題からはずれる。「化石」をきっかけに「地層」に、意識を持っていく。
 
「化石の見つけ方」など、地層につながるテーマの設定が望まれる。
コラム
 
2006年8月7日兵庫県丹波市(篠山層郡)で恐竜の化石が発見されました。
(推定1.2億年〜1.4億年前)竜脚類の中のティタノサウルス類の化石の可能性が高いと考えられています。2007年には同層から小型脊椎動物化石も多数発見された。これら白亜紀前期の脊椎動物化石は、世界的にも例が少なく、各動物群の進化の過程を解明するうえで非常に貴重な標本です。(平成22年時点)
 
【第1次@ 地層ができるわけ@ P.6〜7 2時間】
課題、活動、まとめ など 留意点 など
課題 『地層は、どのようにしてできたのだろうか。』
 
活動 ○話し合い→仮説
  ○実験1
  ○話し合い
 
評価規準 思考@ 大地の様子やその構成物と川原の様子や堆積実験とを関連づけて地層のでき方を推論する事ができる。
  思考A 堆積実験で、土のつもり方を調べることができる。
学習(まとめ)のポイント
流れる水のはたらきによって、層を作って土がつもり、「地層」ができる。
崖などで見られるしま模様を「地層」ということを知らせる。
 
5年生の「流れる水のはたらき」の学習を想起させる。
 
地層の石と川原の石の資料(できれば実物、なければ写真)を提示する。
 
映像資料があれば、利用してもよい。
 
【第1次A 地層ができるわけ P.8〜9 2時間】
課題、活動、まとめ など 留意点 など
課題 『地層に見られる岩石や火山灰を観察しよう』
 
活動 ○観察(堆積岩)→話し合い
  ○観察(火山灰)→話し合い
 
評価規準 知識@ 地層は、流れる水や火山の噴火によってでき、地層が固まって岩石になったものがあることがわかる。
学習(まとめ)のポイント
地層は、流れる水のはたらきや火山の噴火によってできる。
地層には、長い年月の間に固まって、岩石になったものがある。≪れき岩・砂岩・でい岩≫
導入で、前時の実験結果や映像資料で、地層のでき方を復習する。
 
実物標本の観察。
 
虫眼鏡や顕微鏡の利用。
 
岩石標本は、数が多い方がよい。(同じ砂岩でも、色や粒の大きさに違いがあるため)
 
岩石観察のポイント
   色、模様、粒の形
 粒の大きさ、手触り、硬さ
 
映像資料を利用して、長い年月をかけて岩石に変化していったことをとらえられるように工夫する。
 
【第2次@ わたしたちが住む地面の下@ P.10〜13 3時間】
課題、活動、まとめ など 留意点 など
課題 『わたしたちが住む地面の下も、地層になっているのだろうか』
 
活動 ○話し合い(予想)
  ○観察
 
評価規準 思考A 地層のようすと大地の構成物とを関連づけて、地層の広がりを推論することができる。
  技能B 野外観察(資料)をもとに、地層の様子を調べ、記録することができる。
学習(まとめ)のポイント
同じ層が、地域の地面の下でつながっている。
【他の課題例】
「しま模様になっているがけの奥はどうなっているだろう」
 
・ 観察の方法(例)
    野外観察
  ボーリング試料
  映像資料
  地層模型
 
【第2次A わたしたちが住む地面の下A P.14〜16 2時間】
課題、活動、まとめ など 留意点 など
活動 ○これまでの学習の整理
 
課題 『水底に積もった地層が、陸上で見られるのはどうしてだろうか』
 
活動 ○話し合い
 
評価規準 知識A 地層は、礫、砂、粘土、火山灰、及び岩石からできており、層をつくって広がっていることがわかる。
  思想B 陸上に現れた地層は、長い年月をかけて、流れる水のはたらきで削られ、土砂が運ばれて積もり、また、地層ができると考えることができる。
学習(まとめ)のポイント
海底でできた大地は押し上げられ陸上に現れる。
流れる水のはたらきで削られ、新たな地層をつくる。
長い年月をかけて、大地は変化している。
導入(前半)で、これまでの学習の確認をする。
   ≪地層のでき方・地層の構造物・地層の広がり≫
 
自由な発想の後、資料を提示する。
   大地の隆起モデル
 映像資料
 
4.どのように単元を流すかA 5 「大地の変化」
 
【単元導入 大地の変化 P.18〜19 1時間】
課題、活動、まとめ など 留意点 など
課題 『火山活動と地震について学習していこう』
 
活動 ○話し合い→調べ学習の計画
 
評価規準 関心@ 大地の変化に興味を持ち、火山活動による変化か地震による変化かを選んで学習しようとする。
火山活動と地震についての映像を提示し、関心を高める。
 
本日、紹介する「火山の実験」をしても良い。
 
 
【第1次@ 火山活動(地震)による変化@ P.20〜27 3時間】
課題、活動、まとめ など 留意点 など
課題 『今までに起こった火山活動と地震では、大地にどんな変化が見られたのだろう』
 
活動 ○話し合い→調べ学習の計画
  ○調べ学習
 
評価規準 思考@ 火山活動と地震によって大地が変化してきたことや、火山活動と地震は将来にも起こり、生活に影響を及ぼす可能性があると考える事ができる。
  技能@ 火山と地震に関する資料などを活用して、火山活動と地震による大地の変化や災害を調べることができる。
火山活動と地震によってどんなことが起こるか想起させる。
 
テーマ設定と調べ方をはっきりさせる。
 
時間短縮のためには、インターネットのサイトや書籍や映像資料を集めておく。
 
【第1次A 火山活動(地震)による変化A P.23 1時間+α】
課題、活動、まとめ など 留意点 など
課題 『火山活動と地震』について、調べたことをまとめて発表しよう。
 
活動 ○発表
  ○話し合い(感想交流)
 
評価規準 技能A 火山活動と地震について調べたことをまとめて、発表することができる。
  知識@ 火山活動と地震は、大地を大きく変化させ、人々の生活に大きな影響を与えることが分かる?
学習(まとめ)のポイント
大地を変化させる火山活動と地震のエネルギーはとても大きなものである。
火山の噴火と地震は、大地を変化させたり、人々の生活に大きな影響を与えたりする。
事前に発表のしかたを確認し、聞くときの目当ても意識させる。
 
発表や話し合いを通して、火山活動や地震による変化や災害について認識を深めさせる。
防災マップ(ハザードマップ)とは、大規模地震や河川のはんらん、火山の噴火などの自然災害が発生した場合に、住民が自主的かつ迅速に避難するために必要な情報を、避難場所や避難路、危険地域に医療機関の場所などのように地図上に分かりやすく加工して示したものです。
 
 防災マップの目的は、住民に地域の防災に関する正しい知識や情報を提供することで、住民の防災意識を向上させ、災害時に向けた事前の備えを取るよう働きかけることです。災害時に必要な情報が1枚の地図にまとめられているので、視覚的に理解しやすいという長所があります。
兵庫県地域の風水害対策情報  http://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/hazmap/top.htm