理科教材ワンポイント講座
第４学年
「　ものの温度とかさ　」
空気・水・金属は、
温度によって体積が変化することを
イメージさせることが、最大のワンポイント
１．何を学習するのか
 
�ヽ惱�指導要領より <平成20年（2008年）告示>
Ａ　物質とエネルギー（２）
 
　　金属、水及び空気を温めたり冷やしたりして、それらの変化の様子を調べ、金属、水及び空気の性質について考えをもつことができるようにする。
  　　ア　金属、水及び空気は、温めたり冷やしたりすると、そのかさが変わること。
 
��単元の目標は
　　温度による空気のかさの変化を、見通しを持って追求することができるようにするとともに、水や金属のかさの変化を空気と比較しながらとらえることができるようにする。
　　また、空気・水・金属は、温度によって体積が変化するという見方や考え方を養うようにし、体積の変化と温度変化とを関係づける能力や興味・関心を持って追求する態度を育てる。
 
２．単元を構成するにあたって
 
�〇劼匹發燭舛蓮ΑΑΑ�
  ○ 「空気や水」単元を終えており、空気の存在は気付いているだろう。
  ○ 温まると空気のかさが変化すると、知っている児童は少ないであろう。
  ○ 同様に、水や金属が温度によってかさが変化すると知っている児童は少ないだろう。
 
��何が分かればよいのか。
  ○ 空気・水・金属は、温度によって体積が変化する
  　
�� 温度が上がれば、かさは大きくなる（膨張）
�� 温度が下がれば、かさは小さくなる（縮小）
�� かさの変化の大きさは、空気、水、金属の順であるということ（比較）
  ○ 実験器具の使い方。
  　
�� もののかさの変化を知るにはどのような器具を使うのか
�� ガスバーナー、アルコールランプ、マッチなどの加熱器具の安全な使用法
＊意外におろそかになりがちであるが、子ども達にとっては「実験器具」の取り扱いは初めてです。
　　しっかりと指導しておきましょう。
 
�６飢塀颪粒悗咾瞭睛討判臀�は
 
段階 活動 学習内容
単元導入 ものの温度とかさ 【温度変化に伴うかさの増減、問題設定】
第　１　次 空気の温度とかさ 【空気の温度変化に伴うかさの増減】
第　２　次 水の温度とかさ 【水の温度変化に伴うかさの増減】
第　３　次 金属の温度とかさ 【金属の温度変化に伴うかさの増減】
 
�っ姥気鮃柔�する上で大切にしたいこと
 
○ 「温度の変化と体積の変化の関係」に関心を持たせる。 【単元導入】
  　・丸底フラスコを湯せんすると栓が勢いよく飛ぶ。
  　　　他にも、フラスコの口にシャボン玉や風船をつけて膨らませるなど、
　　　あたためるとかさが変化する体験をする。		 　
  　 →熱湯によるやけどに注意 　
○ 確かな知識を習得する。 【単元全体】
  　・「空気・水・金属」は温めるとかさが増え、冷やすとかさが減ることが分かる。
  　・空気、水、金属の順によるかさの変化が大きいことが分かる。
○ 実験用具操作の技能を習得させる。 【単元全体】
  　・加熱器具（ガスバーナー、アルコールランプ、湯せん）の正しい安全な使い方。
  　 →ガスバーナーを使用するときは、注意が必要である。 　
  　・加熱した金属の扱い→さめるまで絶対にさわらない。 　
  　・ガラス器具の洗い方 　
○ 科学的追究の思考力（と技能）を育てる。 【単元全体】
  　・温度と水のかさの変化→空気と比較して関係づけて考える。
  　・温度と金属のかさの変化→空気や水と比較して関係づけて考える。 　
  　 ▼温度の変化と体積の変化の関係につなげる 　
  　 ▼正しく記録し、まとめる 　
○ 学習したことを確かめさせる。（確かなものにする。） 【発展】
  　・鉄道のレールのつなぎ目
  　・へこんだピンポン玉
 
３．どのように単元を流すか
 
【単元導入　ものの温度とかさ　　　１時間】
課題、活動、まとめなど 留意点　など
課　　題 『空気を温めるとシャボン玉がふくらむのはどうしてだろう？』
 
 
活　　動 ○ フラスコに発泡ポリエチレンの栓をして温めてみる。
  ○ 試験管をあたためて、シャボン玉を膨らます。
  ○ シャボン玉が膨らんだ理由についての話し合い。
 
評価基準 ○ 試験管を手で温めるとシャボン玉が膨らむことに興味をもち、進んで空気は温められるとどうなるかを調べようとする。（興味）
　 ○ シャボン玉が膨らんだ理由を予想することができる。
（思考）
 
学習（まとめ）のポイント
○
 空気が移動してシャボン玉が膨らむという考え方が理解できるように空気の動きや空気のある場所を矢印や色を使って説明するとよい。
○
 事象に関心を持てるように提示された事象を自分でも試してみる時間を十分に確保する。
○
 ポンッと音を立てて飛び出す。
○ なかなかシャボン玉が膨らまない児童には、試験管を一度水（または氷水）で冷やしてから、行うと膨らみやすい。
○ 一人ひとりに実験をさせたいのなら、試験管が好ましい。
○ 興味を持ってやるための手だてとして、やはり、自分で調べるということが大切。
 
【第１次　水の温度とかさ　　２時間】
課題、活動、まとめなど 留意点　など
課　　題 『空気はあたためられるとどうなるか？』
 
活　　動 ○ 空気があたたまるとどうなるかについて話し合う。（予想）
  ○ マヨネーズの容器を使って膨らむ様子。
  ○ あたためられた空気が上に上がるなら栓を下に向けると飛ぶ
  　 ※　ペットボトルと卵を使う。
  ○ 結果についての話し合い。
 
評価基準 ○ 試験管にと閉じこめた空気をあたためたりひやしたりしてかさの変化を調べ、温度とかさの変化を関係づけてとらえ、結果を記録することができる。（表現）
　 ○ 空気は、あたためるとかさが増え、冷やすとかさが減ることがわかる。（知識）
 
学習（まとめ）のポイント
○ はじめの話し合いの時に、イメージ図の表現の違いや図の意味を話し合いによってはっきりさせておく。
○ 空気の膨張は、容器の口のみに起こっているのではなく、四方八方に広がっていくことがイメージできるかが最大のポイント！！はじめに用いたイメージ図と変化がみられるとよい。
○ 仮説を持って話し合わせる。
○ シャボン玉が動く理由を空気が上に移動したからであると主張する児童がいるときには、空気が移動した後の空間には何があるか考えさせる。
○ 空気が移動しているのではなく、膨張していることをとらえさせるために、容器の口に付けた風船を逆さまにしても横にしても膨らむ様子を見せる。
○ 簡易に温度をあげたり、下げたりするのにドライヤーが有効に使える。ただし、一度に大量にドライヤーを使うとブレーカーが落ちてしまうことがあるので注意して行う。
 
【第２次　水の温度とかさ　　２時間】
課題、活動、まとめなど 留意点　など
課　　題 『水はあたためるとどうなるのだろうか？』
 
活　　動 ○ 水はあたためるとどうなるかについて話し合う。（予想）
  ○ 水をあたためて水位の変化を見る実験
  ○ 結果について話し合い。
 
評価基準 ○ 試験管の中の水をあたためたり冷やしたりしてかさの変化を調べ、結果を記録することができる。
  ○ 温度と水のかさの変化を関係づけてとらえ、空気と比較して考えることができる。（思考）
  ○ 水も、あたためるとかさが増え、冷やすとかさが減ることが分かる。また、空気と水では、空気のほうが温度によってかさがよく変化することが分かる。（知識）
 
学習（まとめ）のポイント
○ 水も空気と同じように、あたためるとかさが大きくなるかどうかを調べる。空気のかさの変化をもとにして、水のかさの変化を考えていくことが重要である。
○ 空気の体積変化をもとに、水の体積変化を考える姿勢を賞賛する。
○ 水は空気と同じように、かさが増えると考える児童が多い。しかし、水は空気と違って伸び縮みしないという先行経験よりあたためてもかさが増えないと考える児童の見方や考え方をどんどん取り上げる。
○ 実験を行う際には、水に色を付けるなどの工夫を行うと、見た目も変化がわかりやすい。
 
【第３次　金属の温度とかさ　　２時間　】
課題、活動、まとめなど 留意点　など
課　　題 『金属はあたためるとどうなるか？』
 
活　　動 ○ 金属は、あたためられるとどうなるかの話し合い。
  ○ マッチ、ディスポーザブルライター（柄の長いライター）、
　　アルコールランプの使用方法。
  ○ 金属球膨張試験器の使用法
  ○ 金属球膨張試験器の実験
  ○ 結果についての話し合い。
 
評価基準 ○ 温度と金属のかさの変化を関係づけてとらえ、空気や水と比較して考えることができる。（思考）
　 ○ 金属もあたためたり冷やしたりするとかさが変化するかを、加熱器具を正しく安全に使って調べ、結果を記録することができる。（技能）
　 ○ アルコールランプやガスバーナーを正しく使うことができる。（技能）
　 ○ 金属も、あたためるとかさが増え、冷やすとかさが減ることが分かる。（知識）

学習（まとめ）のポイント
○ 空気や水の体積変化とともに、金属の体積変化を予想することができるようにする。固体である金属も空気や水と同じように体積変化をすることに感動させたい。
○ 金属もかさが大きくなるという意見が多い場合は、金属は空気や水と違って、固体であり堅いことを強調し、かさは変わらないであろうという見方や考え方を強めていく。
○ 球体と輪のどちらをあたためた時にどのような現象が起こるかをきちんと理解した上で、実験に取り組むようにさせる。